サイクル理論に関する書籍などをピックアップしました。
意外にもサイクルについて記述された書籍はいろいろあることに気付かされました。ただ、どれも高価な本が多いというのが第一印象です(FXの「有益な本」はおおかた高価ですが……)
もし可能であれば、近所の図書館などに書籍があるか調べて、内容を確認してから購入されることをオススメします。
FX取引に活かせるサイクル理論について書かれた書籍
先物市場のテクニカル分析
この本は、サイクル理論の本というよりテクニカル分析全体をくまなく紹介した本です。「テクニカル分析とはなにか?」を知りたい方にとっては、テクニカル分析の全体像を学ぶことができるバイブル的な本に仕上がっています。
サイクル理論について記述してあるのは、第12章のタイム・サイクルのパートです(約30ページ)。
サイクル理論の原理原則を日常生活や日常的な現象を交えて説明がされているので、いきなり理論の説明が始まる書籍と比べてとっつきやすい内容だと思います。
当サイトでは数年クラスの長期サイクルまでを分析対象としていますが、この本では最長約54年の超長期サイクル(コンドラチェフの波)まで説明がされており、サイクルの全貌を把握するには十分な内容となっています。
サイクル理論を学ぶためだけにこの本を買うのは(コスパ的に)オススメできませんが、FXを始めようとしたばかりの方は自室の本棚に添えるのも悪くないかなと思います。
初版が1990年と古い書籍なのにも関わらず、Amazon売れ筋ランキングの証券・金融市場部門で堂々の3位(2019/3/10時点)にランクインしているところから、多くのトレーダーがこの本から勉強を始めていることが伺えます。
ローソク足でなくバーチャートが用いられているところはやや時代を感じます(内容は色あせてないところが、テクニカル分析およびこの本の素晴らしいところ)。
マーケットのテクニカル分析 ――トレード手法と売買指標の完全総合ガイド
本のレイアウトや著者名などから、一見「先物市場のテクニカル分析」の改訂版のように見えますが、厳密には異なります。
先物市場のテクニカル分析は”Technical Analysis of the Futures Markets (1986)”の訳書で、出版社は金融財政事情研究会(きんざい)ですが、本書は”Technical Analysis of the Financial Markets (1999)”の訳書で、パンローリング社の出版となっています。
ただ、原書の著者は同じジョン・J・マーフィー氏なので、実質改訂版に近いものと言えるかもしれません。
2冊の原書の発行年は13年のブランクがあり、タイトルも「先物市場(Futures Markets)」から「マーケット(Financial Markets)」と変わったところから、対応する相場のゾーンが広まったという印象です。
サイクル理論に関しての記述は、第14章のサイクルに記載されていますが、先物市場のテクニカル分析とそう内容は変わらないので、2冊とも入手する必要はありません。
相場サイクルの基本: メリマンサイクル論
アメリカのサイクルアナリスト、レイモンド A. メリマン氏による相場サイクルの基本解説本です。
当サイトにおける「サイクル理論」は、彼が提唱するメリマンサイクルが主体と言っても過言ではありません。
私のサイトだけでなく、多くのWEBサイトで紹介されているサイクル理論についても、彼の理論が根幹的な部分を成しています。
読んでみると、原則プライマリーサイクルとメジャーサイクルを中心に取り扱って解説しており、一発目に読むサイクル本としてこれ以上はなさそうという感想を持ちました。
コレを読んでからサイクル投資法マスターブック(後述)を読むと、FXトレード向けのサイクルに関する理解が深まるし、逆の順に読んでも、マスターブックではよくわからなかったことがスッと頭に入ってくると思います。
最初の30日間は無料でKindle Unlimited会員になれるので、まだ使ったことのない方は是非活用して読んでみてください。
また、アストロロジャー(占星術者)でもある彼は、天体と相場の関係についても造詣が深く、関連書籍(下)を複数出版しています(私は未読のためよく分からないです)。
FXサイクル投資法マスターブック
メリマンサイクルを基本軸とした、著者独自のサイクル理論(松下サイクル論)について紹介されている本です。
「外国為替をトレードするためにサイクルを勉強したい」という場合、とりあえずこの本を一冊買えば済むと言っても過言ではありません。
というのも、この本が一冊あれば自分自身で相場環境認識できるだけのスキルが身につけられるからです。
主要通貨ペアについて長期サイクルからアルファサイクルまで実際に分析したチャートが掲載されているので、自身で分析した後に「実質答え合わせ」として活用することもできます。
後半(第5章)の手法については参考程度にとどめて、自身にあったものを開発することをオススメします(著者もそのようには書いてますが……)。
別記事でも再三再四書いていますが、サイクル理論・分析は相場環境認識のためのものであって手法ではありません。
そのため、この本を読んでも勝てるようにはなれないし、サイクル分析できるようになっても勝てるようにはなれません。
相場環境を認識できるようになってから、相場にあった手法を開発する作業(=検証)を行って初めて安定して勝てるようになる……そう考えています。
伊藤寿彦 タイムサイクル分析
本以外でもサイクル分析を学ぶことができる資料を発見しました。長年サイクルについて研究を行ってきた伊藤寿彦氏による「伊藤式タイムサイクル」のセミナー内容をDVD化したものです。
メリマンサイクルとは内容がやや趣向が異なるものの、「時間軸からトレンドの変わり目を測ってトレードに活かす」ということを主体とした解説がなされています。
書籍のように手軽に買える値段ではないので、ややブルジョワ向きです。^^;
「サイクル」と銘打ってるけど少し内容が異なる本
「物は言いよう」とはよく言いますが……「サイクル理論」と書いてあればどの本もメリマンサイクルやそれに準ずる内容が書いてあると思ってましたが、そうでないことも多々ありました(単なる私の知識不足)。
本のタイトルから思わず買ってしまいそうになるものの、少し内容が異なる書籍についても合わせて紹介します。ある意味、間違ってノータイムで買ってしまわないようにという意図が多分に含まれています^^;
市場サイクルを極める 勝率を高める王道の投資哲学
この本は「市場サイクル」と銘打ってあり、FX相場に限らず幅広いマーケットに対応した本になっています。
分析のための本というよりは、本のタイトルにあるように哲学的(?)な内容になっており、「そもそもサイクルとは何か」ということが文章メインでつらつらと記されています。読み切るにはなかなか骨が折れる内容となっています。
当サイトで紹介しているメリマンサイクルを主体としたサイクル理論より、もっとマクロな範囲を取り扱った本といえます。
かの有名な投資家、ウォーレン・バフェット氏もこの本の著者であるハワード・マークス氏を高く評価しているという点は、やや注目に値します。
相場サイクルの見分け方 ―銘柄選択と売買のタイミング
こちらの本もFX相場というより、株式市場にフォーカスを置いた内容となっています。
もともとは1990年の4月に発売された本で、それを一切手を加えずに復刊しているところからも、相場サイクルの不変性(再現性)の高さが伺えます。
アノマリー投資 ――市場のサイクルは永遠なり
この本もFXというよりは株式相場を題材とした内容で、登場する銘柄は基本的に外国(アメリカ市場)のものです。
「アノマリー」は、理論では説明できない株価の規則的な現象のことを指します(ソース:コトバンク)。季節性やファンダメンタルズ、地政学的要因における株価のサイクルについて大いに語られています。
Amazonで立ち読み(なか見!検索)ができるので、興味がある方は一度見てみてください。
「FX取引との相関性は?」と問われると「うーん……」という印象ですが(この本を読んでFX取引に活かすにはやや遠回りか……?)、また新たなサイクルの方向性を知ることができる1冊です。
DAIBOUCHOU式 新・サイクル投資法
「メリマンサイクルやそれに準ずることを書いた内容の本がないかなー」
と、書店を漁っているときにこの本が目に入ったら、中身を見ずに買ってしまいそうになるタイトルです(実際私は手に取りました)。
しかし、残念ながらサイクル理論に準ずる内容については記述されていません。
本書では、著者(DAIBOUCHOU氏)が「5年半で200万円を10億円に増やすまでの経緯」が書かれており、もはやそれがメインコンテンツという印象です。
「どうやってそれだけの資産を形成できたのか」を知りたい方、「こういう胡散臭いサクセスストーリーは本当なのか?」と疑問を持っている方にとっては学びのある本かもしれません。
なお、著者はFXではなく信用取引がメインのため、当サイトとは毛色(トレードスタイル)が異なるという点も付記しておきます。
さいごに
本について調べる前、私の中では「サイクル理論≒メリマンサイクル」でしたが、相場界にはメリマンサイクルに限らず多種多様なサイクル理論が存在していることを知ることができました。
ただ、当サイトで紹介しているようなサイクル理論について書籍等で学びたい方は、FXサイクル投資法マスターブックのみでも問題ないかと思います。
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