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ローソク足について学ぶ前に…為替レートが動く要因についておさらい

基礎知識

相場は上昇する下落するかの2択です。

横ばいに見えるチャートも、細かく見ると上昇と下落を交互に細かく繰り返していることが確認できると思います。

では、上昇する要因、下落する要因はなにかについておさらいしたいと思います。

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ブル派とベア派

マーケットでは常に、上昇すると思って買う人と、下落すると思って売る人が行き交っています。

上昇すると考えている集団は「ブル派」、下落すると考えている集団は「ベア派」と定義されています。

ブル派

 ブル派は、相場が上昇すると判断しその銘柄を買っている、もしくは買おうと考えている集団です。

※イメージ

ブル派
ブル派
買う買う

※イラストは「乳牛」(Cow)になってますが、厳密には「水牛」です

ベア派

 ベア派は、相場が下落すると判断しその銘柄を売っている、もしくは売ろうと考えている集団です。

※イメージ

ベア派
ベア派
売る売る

為替レートが上昇する要因

 ある通貨ペアのレートが上昇しているときは、基本的にブル派の買い注文量がベア派の売り注文量を上回っていることを意味しています。

※イメージ

ベア派
ベア派
売る売る
ブル派
ブル派
買う買う買う買う買う

場合によっては、ブル派のみ注文していて、ベア派は静観している場合もあります。

※イメージ

ブル派
ブル派
買う買う買う買う
ベア派
慎重な
ベア派
…………

この場合、上の場合よりもより強い上昇(一方的な上昇)を示すことが考えられます。

もう一つの上昇要因:ベア派の買い戻し

上昇する要因は、ブル派が買い注文を入れるからだけではありません。

売りポジションを持っているベア派がそのポジションを手放す買い戻し時も、レートの上昇に繋がります。

※イメージ

ベア派
ベア派
買い戻し買い戻し

買い戻すという行為はブル派の買い注文と同じ方向への注文です。

0に1を足して1になるのと、-1に1を足して0になるのとを、1増えてるという意味で同じと捉える感じでしょうか。

ダブルの圧力:ブル派は買い、ベア派は買い戻す展開

上昇の中で最も強い状態が、「ダブルの圧力」がかかった状態です。

ダブルの圧力とは、ブル派が買い、ベア派が買い戻している展開を指します。

※イメージ↓

ブル派
ブル派
買う買う買う買う
ベア派
ベア派
買い戻し買い戻し
Man
ブル派もベア派も一方にいて、バランスが偏ってますね。

利益を増やすブル派損失を抑えるベア派という意味では、両者の相場に対する思いは違うかもしれませんが、ここから上昇するという考えは両者一致しています

ブル派が買うのを止める、もしくはベア派が買い戻すのを止めるまでは、ダブルの圧力が継続されます。

為替レートが下落する要因

一言で言うと上昇する原因の真逆ですが、下落する要因についても説明します。

ある通貨ペアのレートが下落しているときは、基本的にベア派の売り注文量がブル派の買い注文量を上回っていることを意味しています。

※イメージ

ブル派
ブル派
買う買う
ベア派
ベア派
売る売る売る売る売る売る

場合によっては、ベア派のみ注文していて、ブル派は静観している場合もあります。

※イメージ

ベア派
ベア派
売る売る売る売る売る
ブル派
慎重な
ブル派
…………

この場合は、上の場合よりもより強い下落(一方的な下落)を示すことが考えられます。

もう一つの要因:ブル派の売り戻し

下落する要因は、ベア派が売り注文を入れるからだけではありません。

買いポジションを持っているブル派がそのポジションを手放す売り戻しも、レートの下落に繋がります。

※イメージ

ブル派
ブル派
売り戻し売り戻し

なぜなら、売り戻すという行為はベア派の売り注文と同じ方向への注文だからです。

「0に1を引いて-1になる」のと「1に1を引いて0になる」のとが、1減ってるという意味で同じと言っているようなものです。

ダブルの圧力:ベア派は売り、ブル派は売り戻す展開

下落の中で最も強い状態は、上昇と同様で「ダブルの圧力」がかかった状態です。

ダブルの圧力がかかった状態とは、ベア派が売り、ブル派が売り戻している展開を指します。

ダブルの圧力は上昇相場だけのものではなく、下落相場でも同様に発生します。

※イメージ

ベア派
ベア派
売る売る売る
ブル派
ブル派
売り戻し売り戻し売り戻し

利益を狙うベア派損失を抑えるブル派という意味では両者の相場に対する思いは違うかもしれませんが、「ここから下落する」という考えは両者一致しています

ベア派が売るのを止める、もしくはブル派が売り戻すのを止めるまでは、ダブルの圧力が継続されます。

レンジ相場(保ち合い相場)のブル派とベア派の行動

※保ち合いの例(アセンディング・トライアングル)

一定のレート間で上下動を繰り返すような相場は、レンジ相場やボックス相場、保ち合いなどと呼ばれています。

このようなパターンでは以下のような展開がなされていると考えられます。

上限に到達:ブル派は利食い、ベア派は仕掛ける

上図のオレンジ色のライン(レジスタンスライン)に到達すると、買いポジションを持っていたブル派は利食い(売り戻し)を行い、積極的なベア派は売りを仕掛けます。

※イメージ

ブル派
ブル派
売り戻し売り戻し売り戻し
ベア派
積極的な
ベア派
売る売る売る売る

 レジスタンスラインにレートが到達し、「ブレイクする」と思った積極的なブル派は買いを仕掛けますが、ブル派の一部は売り戻しの決済(利確)を行っているため、思ったように上昇してくれません。

※イメージ

ブル派
積極的な
ブル派
買う買う買う
ブル派
ブル派
売り戻し売り戻し売り戻し売り戻し

さら「上限からの反発の展開を待っていた慎重なベア派までが売り始めるとレートは下がり始め、買いポジションは不利な仕掛けとなります。

買いを仕掛けた中で賢明なブル派は売り戻し(損切り)を行います。

※イメージ

ベア派
慎重な
ベア派
売る売る売る売る
ブル派
積極的な
ブル派
買う買う買…売り戻し売り戻し売り戻し売り戻し

その結果、レジスタンスライン近辺まで上昇した相場は反転しダブルの圧力が生じている)、ブレイクは失敗に終わります。

下限に到達:ベア派は利食い、ブル派は仕掛ける

下限(青色の上昇トレンドライン)に到達すると、今度はポジションを持っていたベア派が利食い(買い戻し)を行い、ブル派が仕掛けます。

トレンドラインがブレイクされて下落が継続すると思い、売りを仕掛けた積極的なベア派は、それが失敗に終わるとみると買い戻し(損切り)を行います。

※イメージ

ベア派
積極的な
ベア派
売る売る売る
ブル派
積極的な
ブル派
買う買う買う買う買う買う買う

しばらくしてから……

ブル派
慎重な
ブル派
買う買う買う買う買う
ベア派
ベア派
買い戻し買い戻し買い戻し

さらにその後……

ベア派
積極的な
ベア派
売る売…買い戻し買い戻し買い戻し

保ち合いのブレイク

このような保ち合いの相場は、ライン近辺でブル派とベア派のどちらかが戦略の変化をするまで続きます。

レンジが狭くなるにつれて概ね以下のどれかが発生し、保ち合いがブレイクされます:

  • 積極的なベア派がレンジの上限で売るのを止める→上昇
  • 積極的なブル派が下限で買うのを止める→下落
  • レンジの上限で買いを仕掛ける積極的なブル派が増える→上昇
  • レンジの下限で売りを仕掛ける積極的なベア派が増える→下落

上図では、ベア派が折れて一時的に上方向にブレイクしたことが確認できます。

※イメージ

ブル派
積極的な
ブル派
買う買う買う買う買う
ベア派
積極的な
ベア派
売る売…買い戻し買い戻し
「トレンドラインはブレイクされるもの」というイメージがありますが、ラインを少し抜ける度に仕掛けてたら、損切りを繰り返すことになりそうですね。

機関投資家:相場の行く末を決めるメインプレイヤー

 我々個人レベルの投機家がブル派とベア派に分かれて攻防を繰り広げたところで、レートは大して動きません。

 レートを大きく動かす一番の要因とされているのが機関投資家ファンドといった人(会社)たちです。

 彼らは潤沢な資金を駆使し、個人投機家の何百倍、何万倍もの量を取引することで、相場を動かします。

※イメージ

ブル派
ブル派
(個人)
買う(10lot)
ベア派
ベア派
(個人)
売る(10lot)
ファンド
ブル派
(ファンド)
あ、買います(10000lot

このような場合、ブル派は「自分(たち)が仕掛けたからベア派に勝った」と錯覚するかもしれませんが、一番の要因は機関投資家が買ったからです。

空中戦を広げるファンドたち

ブル派のファンドもいれば、当然ベア派のファンドもいます。

彼らは自身の会社が最も儲かるように注文を行います。

※イメージ

ファンド
ブル派
(ファンド)
あ、買います(10000lot
ファンド
ベア派
(ファンド)
売ります(26000lot
ファンド
ブル派
(ファンド)
さらに買います(40000lot
ベア派
ベア派
(個人)
……
ブル派
ブル派
(個人)
……
※個人の見解
「機関投資家同士で結託したりしないのか」と思うかも知れませんが、FXのマーケットの大きさから考えるに、2, 3の機関投資家が結託したところで全体のマーケットのサイズから見ると極めて小さいため、結果として現れるような結託はされてないと考えます(結託したところで無意味)。

まとめ:我々個人投機家が相場でするべきこと

レートを支配しているのは機関投資家であるというのはブルックス本ならびに本サイトの見解ですが、個人投機家は為す術がないと言ってるわけではありません

個人投機家は(FXマーケットにおいて)レートを動かすレベルの注文ができないと言っているだけであって、だから相場に参加すべきでないという意味ではないからです。

機関投資家がトレンドを作っているのであれば、我々個人投機家はそのトレンドを利用すればいいだけの話です。

プライスアクションを観察してダブルの圧力で仕掛ける

どのような手法を用いて分析しようが、マーケットは上昇するか下落するかの2択です。

本記事では、一方的な上昇・下落が生じるのはダブルの圧力が発生したときということを、ブル派・ベア派の行動パターンを例に説明しました。

私達は、機関投資家がどう動こうがダブルの圧力が発生しそうなタイミングをローソク足から見つけ出し、利益が出そうな方向に仕掛けることが相場で生き残る近道と考えます。

※イメージ

ベア派
ベア派
売る売る売る売る
ブル派
ブル派
買う買う買う買う買う
ファンド
ベア派
(ファンド)
売ります(20000lot
ブル派
ブル派
売り戻し売り戻し売り戻し
あなた
売ります(10lot)

プライスアクションでないといけない理由はない

もちろんですが、ローソク足を観察して仕掛けタイミングを図るプライスアクションが絶対的なトレード手法というわけではありません。

なんらかのインジケーターなどで優位性を見つけ、仕掛けパターンを確立できればそれでも問題ありません。

ただ、定量的な判断で高い優位性を誇るような手法がなかなかないことは、多くのトレード経験者は承知だと思います。

そのような手法が存在しているのであれば、もっと自動売買ソフト(EA)が注目されているはずです。今日も多くのEAが生まれ発売されていますが、絶対的なEAはいまだありませんし、今後もなかなか登場しないでしょう。

※EAを作る人も買う人も完璧を求めすぎるあまり成功できないのではないかと個人的には思っています。1勝5敗(低勝率)でもPF1以上のEAくらいならわりかし作れると思いますが、それが売られてない(未検証)のは買われないからでしょうか…

機関投資家によって判断基準は別々

そもそもトレード手法がこの世に何万とあるように、機関投資家もそれぞれの売買基準を持ってトレードしています。

ある機関投資家はファンダメンタルズ的要因(指標発表、要人発言、経済に影響を及ぼしそうな影響)を元にトレード仕掛け、またある機関投資家はテクニカル分析をもって仕掛けています。

最新の機関投資家だと、高性能コンピュータを使った高頻度取引(HFT)を駆使しているかもしれません。

そのため、どこか特定の機関投資家についていくということは難しく、またどの機関投資家の判断が正しいかを識別することも難しいと考えられます。

そもそもどの機関投資家がどのような判断基準でもってトレードしているかを知るすべがないですけどね。

「難しい」というのは、今まさに行おうとしている仕掛けが過去にも未来にも起こり得ない仕掛けであるからです。そこを納得しないでトレードすると、毎回不安や恐れを味わいながらトレードを行うことになります。

端から端まで取ろうとすべきでない:取れない

機関投資家がレートを支配しているのであれば、端から端まで取ろうとすることが愚かな行為であることもわかるかと思います。

  • ブル派とベア派の機関投資家による争いの決着がつき、トレンド(≒ダブルの圧力)が生じたことを確認してから私達は仕掛けるべき
  • 機関投資家が仕掛けるのを止め(≒利食いを始めて)、トレンドが終了した(トレンドが転換したもしくは、トレーディングレンジになったと判断した)ことを確認してから私達はポジションを手仕舞うべき

トレンドを形成するのもそれを終わらせるのも、機関投資家の動き方次第です(それが良いか悪いかはともかく)。

私達が利益の最大化を図るには、トレンドが出来る前から仕掛けてはならず(負けトレードが増え、プロフィットファクターが落ちるから)、またトレンドが終わる前に手仕舞うのもいけない(利確が早まり、リスクリワードレシオが落ちるから)というのはなんとも歯がゆいところですが、これを心から腹落ちし、トレード手法に組み込んだ者が相場で生き残ると考えます。

頭と尻尾はくれてやれ」という格言がありますが、この格言は本質を突いているのですね。
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