前回はレートが動く要因について記述しましたが、今度はその値動きをローソク足レベルに落とし込んで観察していきたいと思います。
この記事ではローソク足の概要、代表的なローソク足のパターンついて説明します。
「ローソク足」概要
ローソク足は、それ一本である時間内の始値(寄り付き)、高値、安値、終値(引け)の4つの値を知ることができる図表です。
見た目がローソクのように見えることから、「ローソク足」と呼ばれているようです。
開発者は意外(?)にも日本人(本間宗久)で、江戸時代に発案されたとされています(米取引に使われた模様)。
実体とヒゲ
ローソク足は「実体」と「ヒゲ」で構成されています。
始値から終値の間が実体(長方形の部分)で、(陽線の場合)始値から安値の部分、終値から高値の部分がヒゲ(線の部分)になっています。
このルールによって、決まった時間内の4本値(始値、安値、高値、終値)を1本のローソク足から知ることができます。
色について
当サイトでは陽線(始値<終値)を緑、陰線(始値>終値)を赤で表記していますが、特別こうである理由はありません。
自身専用の分析チャートを作成する際は、自分の好きな色で構成するといいと思います。
一般に白黒(白:陽線、黒:陰線)、赤と青(赤:陽線、青:陰線)というような組み合わせ例もあり、刊行物はモノクロの関係上白黒のチャートを使用する場合が多いです。
余談ですが、私が緑と赤を利用するのは、初めてみたFXを取引したときに見たチャートがこの色合いだったことが原因です(大方外為オンラインのせい影響)。一時期白黒も使っていましたが、この形に落ち着きました。
上図:外為オンラインのチャート(初期設定状態)
代表的なローソク足
「ローソク足」のパターンを細分化すると、それだけで10種以上あります。
本節では、その中でも基礎中の基礎といえそうなものに絞って、その足のブル派とベア派の行動についてざっくりと説明します。
陽線
陽線は、そのローソク足が形成された時間内において、買い注文量(買い戻しも含む)が売り注文量(売り戻しも含む)を上回ったことを意味します。
陽線の代表的なパターンとして、ヒゲがなく実体だけで構成された「大陽線」、上ヒゲと実体で構成された「上影陽線」、下ヒゲと実体で構成された「下陰陽線」、下ヒゲとわずかな実体だけで構成された「ピンバー(反転足)」などが挙げられます(それぞれの詳細な観察は後述)。
陽線の形成例
上図はヒゲの小さい「ほぼ大陽線」と言ってもいい足で、寄り付き(①)から引け(④)までブル派の攻勢がベア派を上回ったと考えられるパターンです。
このような足ができる場合は、常時ブル派の買い注文が入ったと考えるのが無難です。
ベア派も時を同じくして何らかの根拠で売りを仕掛けたりしているかもしれませんが、この足においてはブル派の格好の燃料となってしまいました(一部のベア派が買い戻している可能性が高い)。
陰線
陰線は陽線とは逆で、ローソク足が形成された時間内において、売り注文量(売り戻しも含む)が買い注文量(買い戻しも含む)を上回ったことを意味します。
陰線の代表的なパターンとして、ヒゲがなく実体だけで構成された「大陰線」、上ヒゲと実体で構成された「上影陰線」、下ヒゲと実体で構成された「下陰陰線」、下ヒゲとわずかな実体だけで構成された「ピンバー(反転足)」などが挙げられます(それぞれの詳細な観察は後述)。
陰線の形成例
上図では寄り付き(①)から引け(④)まで、ベア派の攻勢がブル派を上回った時の例です。
ブル派は序盤である程度まとまった買い注文を入れたのか、わずかながら上ヒゲが形成されていますが、このうちの一部(もしくは大半)はベア派の買い戻しによるものと考えられます。
この観察対象の足の前の展開(数本前~1本前の足)が下落継続の場合、特に現在の足が寄り付いてからしばらくの間(5分足なら数十秒~数分)は、ベア派の利確による買い戻しの上昇が発生しやすく、一時的に陽線になったりします。
「一時的な上昇」に反転の機運を感じ仕掛けてしまった積極的なブル派は、この後現れるベア派の大群による継続的な売りに対し売り戻しを強いられ、結果的に売りの圧力は強くなってしまいます。
積極的なブル派の働きかけにより一転上昇する展開も起こり得ますが、トレンドに逆らう形での仕掛けとなるためうまくいかないことが多く、期待値はあまり高くないと考えます。
十字足
十字足は、ローソク足が形成される時間内で、一時的に高値と安値を記録したものの最終的には始値に近い値で引けた足のことを言います。
実体がヒゲのように細く、上ヒゲと下ヒゲを縦線、実体を横線と見ると「十」にように近いことから十字足と呼ばれています。
十字足の形成例
十字足は、先述の陽線(大陽線)、陰線(大陰線)のようなわかりやすい展開であることは少なく、同じようなローソク足でもその成り立ちは足によって千差万別です。
ただ、パターン自体はそれほど難しくありません。
上図では、寄り付き(①)から②にかけてはブルが主導権を握り、このまま陽線の実体が広がっていくかと思ったものの、②から③の過程では何らかの要因でベア派に主導権が渡っていることがわかります。
この時の「なんらかの要因」は、もしかしたら要人発言による突発的なものかもしれませんが、それが原因であれ、下落の本質は「ブル派が売り戻したか、ベア派が売りの攻勢をかけたか」のほぼ2択です。誰が何を言ったかなど、複雑に考える必要はありません(トレード手法に悪影響をもたらすだけだから)。
そして③から④では再びブル派が取り戻し、最終的に十字足で引けた形になっています。
ブルックス本では、このような十字足1本でさえ「トレーディングレンジ」と定義し、一般に言われる複数本で形成される「レンジ相場」と同等の状態であると言及しています。
この足から分かることは、ブルもベアも主導権を握れておらず、相場の方向性が定まっていないことです。その点において、「レンジ相場」と変わらないという指摘は合点がいきます。
反転足
反転足は、足が寄り付いてから進んだ相場の方向に対して、後半で一気に展開が逆転した時に形成される足です。
代表的な例が上図の2パターンです。左の反転足は前半に大きく下落したことが、右の反転足は前半に大きく上昇したことがヒゲから伺えます。
反転足は「ピンバー」など、別の名称も多くあります。
反転足の形成例
陽線ピンバーの形成パターンはだいたい上図のとおりです。
①から②にかけては誰が見てもベア派が優勢であることを確認することができます。
しかし、③の時点で既に雲行きが怪しくなっていることが下ヒゲから伺えます。何があったかはその時次第なので明言できませんが、言えることはブル派が積極的に仕掛けたか、ベア派の大半が決済した(買い戻した)かの2択です。
最終的には始値も上回り陽線として引けましたが、この足から分かることは、この足の形成中に仕掛けてまだポジションを持っているベア派は全員含み損を抱えているということです。
次の足でなんとかレートを死守しようと、ベア派がより積極的に売りを仕掛ける可能性もありますが、それが失敗に終わるような展開になるとベア派は買い戻し、ブルは買いを仕掛けるため強気の上昇の展開が期待できます(以前の展開にもよるため一概には言えないことは注意)。
まとめ
ブルックス本では、ローソク足1本レベルで何があったのかを観察し、トレードにどう活かすかについてこれ以上ないというレベルで詳細に書かれています。
その一部だけをかいつまんで説明すると本記事のような内容になります。
各項目(いろいろなローソク足)について当サイトでも取り扱っていくつもりですが、より詳細に学びたいという方でまだ「ブルックス本」を手にとっていない方は是非読んでみてください。
何度も読むと理解が深まって、ローソク足から多くのことを学べるようになると思いますので、個人的には推奨します(「トレード入門」のほうを先に読むことをおススメします)。
下位時間足で流れの答え合わせが可能
観察した足よりもさらに短い時間足を観察することで、より詳細な考察が可能になります。
もし、今まで見てきたローソク足が5分足だった場合、1分足を見ると途中でベア派の攻勢があったり、ブル・ベア双方仕掛けがない時間帯を発見できるかも知れません。
ただ気をつけるべきなのは、1分足のような短い時間レベルになると、そのような結果(ベア派の攻勢や沈黙)がランダムウォークレベルのものである可能性があります。1分足のような短い時間足を見る際は、深い考察が無駄になるかもしれないので注意が必要です。
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